患者さんが予約を忘れていたとのことで時間ができたので、久しぶりの更新になります。

顕微鏡診療についてです。顕微鏡といえば拡大と照明です。

歯科治療で話題になる顕微鏡は、主に二つの使われ方があります。
一 つは 歯垢(プラーク)を採取して細菌を実際に目で確認するというもので、位相差顕微鏡というものが使われます。患者さんの口の中からとってきた歯垢の中 の細菌が動くのを目でみることができます。これは治療に生かすというよりは患者さんの治療や予防に対する意欲を持ってもらうことに使われます。

もう一つは、手術用実体顕微鏡で 実際に口腔内をのぞいて治療や診断に使われる場合です。

二つとも拡大と照明を利用しているわけですが、その拡大率はかなり違いがあります。
位相差顕微鏡のほうが1000倍のオーダーで見る対象は「細菌」です。手術用実体顕微鏡の場合は、30倍程度で見る対象は「虫歯、歯、根管内、歯肉、修復物など」です。

顕微鏡治療の場合は肉眼の10~30倍の精度の治療ができるわけですが、細菌レベル(=1000倍!)の治療ができるわけではありません。

実際に細菌レベルまで拡大してみれる顕微鏡があればすごいことですが、臨床応用は不可能でしょう。
30倍で見ていても、ちょっと体が動いただけでのぞいていた視野が完全になくなるまで移動してしまいますから。
患者さんはそこまでじっとしていられません。

歯科治療上実用的な倍率は10倍くらいです。治療内容により、5倍~15倍で適宜変更します。

なので顕微鏡で診察や治療をしていますが、さすがに歯面に付着した細菌の個体レベルまで確認して見ているわけではないのです。

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